
オレはこのコンクリートジャングルをさすらうことにしたぜ
と言って旅に出た先が、とるの卒業発表会をやってるデパートだった。
とるは芸大の学生で、卒業作品として作った歌をライブで発表するらしい。
早く着きすぎたから別の階をぶらぶらしに行ったら、
なながヨーロピアンタイプよりはアメリカンタイプがいいわと言ってた鞄を見つけた。
ヨーロピアンタイプは柔らかい布で作られてて、アメリカンタイプは堅い皮で作られていた。
そうか最近はこんなのが流行ってるのかと思って、覗きやすそうなヨーロピアンタイプの鞄の中を覗いてみたら、とるのホームページがあった。
なんだとるめオレに黙ってこんな立派なホームページを作りやがって、と思って少し泣きながら見てみたら、
とるの大学ではみんなの卒業作品を一つのでっかい本にすることになってて、とるはその本の編集をしたと自慢していた。
ホームページからその本を取り出してページをめくってみたら、最初の作品は体の動きについての発表だった。
4人くらいで考えた作品らしくて、その4人が腕を前に伸ばしながらゆっくりと階段を上ったり、横に並んで交互にゆっくりしゃがんだり立ち上がる様子が載っていた。
あんまり面白くなさそうだったのでぺらぺらめくって本の最後の編集者の後書きみたいなのを見ることにした。
そこではとるの楽しそうな大学生活模様が繰り広げられていて、好きなCDとかが一枚一枚解説付きで載っていた。昨日とるに教えて貰った歌もそこに載っていた。
その中に3枚くらい同じ歌手が出してるCDが並んでて、3枚ともジャケットの写真がその歌手の写真になってるみたいだった。
コメントに、
神様はどうしてこの美人にいろんなものを与えたんだろうか
って書かれてて、ああとるはこの人が好きなんだと思った。
実に楽しそうな大学生活を他にもいっぱい見ることができて、そのあまりのまぶしさに少し悲しくなって、
ああとるはもう手の届かないところにいってしまった
と思って本を閉じて、ヨーロピアンタイプの鞄の中を覗くのをやめて、デパートの地下で始まるとるの歌を聞きに行った。
とるの歌は弾き語りなのか立って聴くタイプの曲ではないらしくて、みんなおとなしく席に座っていた。
席に着こうとしたらアンケートを渡された。
カップルが間に席を一つ空けて座って話をしていたので、わざとその間の席に座ってまだ聞いてもいないとるの曲についてのアンケートを書き始めたところで目が覚めた。